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レーザー角膜リングは、円錐角膜の根本的な治療として登場した新たな治療法です。日本では、円錐角膜の治療が遅れているため、角膜リングの治療を行える施設は限られていますが、難病と言われる円錐角膜の根本的治療法として世界各国で注目されている治療法のひとつです。
円錐角膜は、大きく進行してしまうと最終的には角膜移植しか治療法がありません。しかし、近年の医療技術の進歩によって円錐角膜の進行を抑え、角膜移植の必要性を大幅に抑えることができるようになりました。こういった新たな治療法が選択肢にあることを多くの方々に知って頂くために、当院では積極的に円錐角膜の治療を行っています。
円錐角膜は、角膜の一部が薄くなり、その部分が眼圧に耐え切れなくなって円錐状に飛び出してくる目の病気です。円錐角膜の原因は、明確に特定されていませんが、遺伝やアトピー性疾患と関係があると言われています。角膜が突出してくることで、近視や乱視が発生し、最終的にはメガネやコンタクトレンズで視力が矯正できなくなります。ここまで進行してしまうと角膜移植をする以外に、視力を取り戻す方法はありません。
通常角膜の部分は、滑らかなカーブを描いていますが、円錐角膜になると角膜の薄くなった部分が眼圧に耐え切れず、前方に突出してきます。症状が進行して、角膜の形状が歪んでくると外から入ってきた光が正常に焦点を結べなくなり、近視や乱視を引き起こします。初期段階ではコンタクトレンズで視力を矯正できますが、さらに症状が進行するとコンタクトレンズの装用も困難になり、視力を矯正する手段がなくなります。円錐角膜の方は、レーシック手術も不適切とされており、最終的には角膜移植しか治療方法がなくなります。
円錐角膜の症状が進行して、角膜の突出が強くなると、デスメ層と呼ばれる角膜の内側の層に亀裂が生じます。その亀裂から、目の中を循環している房水が角膜内に大量に流れ込んで角膜内に水が溜まると、角膜が突然白く濁る「急性水腫」を引き起こします。
本来は透明なはずの角膜が白く濁るため、急激な視力低下が起こり、不快感、流涙感、痛みなどの症状が現れます。適切な処置をすれば、通常6週間~10週間程度で角膜の浮腫は治まりますが、角膜に瘢痕が残ることがあります。また、急性水腫が起こる時に、あまりにも角膜が薄いと、そこから穴が開いて感染症を起こして重症化することがあります。
円錐角膜の治療は、視力の改善を目的としたコンタクトレンズの処方が一般的ですが、病気の進行を止める治療ではないため、視力は矯正できても症状は進行していきます。初期の段階であれば、コンタクトレンズで視力の矯正はできますが、突出した角膜とコンタクトレンズが擦れると激しい痛みが生じることがあります。また、角膜形状の歪みによってコンタクトレンズの装用が困難になると、視力の矯正すらできなくなりますので、進行を抑える根本的な治療を受けることが大切です。
レーザー角膜リング手術は、半月状のリングを挿入することによって、突出した角膜を平坦化させ、円錐角膜によって生じた近視や乱視を軽減させる効果があります。また、角膜の突出によって困難となっていたコンタクトレンズの装用を可能にさせる効果があります。 角膜リングは、直径5~7mmの半月状の薄いプレートで、様々な厚さがあり、症状に応じて使い分けます。素材は、白内障手術に用いられるレンズと同じポリメチルメタクリレートでで出来ていますので、角膜に対しての耐性があり、拒絶反応の危険性が非常に低い安全性な素材です。
以前の角膜内リング挿入手術は専用の器具を用いて角膜 にリングを挿入するためのトンネルを作成していました が、人の手による切開にはどうしてもその精度に限界が ありました。近年では、フェムトセカンドレーザーを用 いてコンピューターの自動制御で角膜を切開することが 可能となり、より安全で正確な角膜内リング挿入手術が 行なえるようになりました。当院では、フェムトセカン ドレーザー「FEMTO LDV Z8 」を導入して角膜リング による円錐角膜治療を行っています。
①麻酔薬を点眼します。
②フェムトセカンドレーザーで角膜リングを挿入するトンネルを作成します。
③レーザーで作成したトンネルに角膜リングを挿入します。
④消毒をして手術は終了です。
レーザー角膜リング手術と角膜クロスリンキングを併用した本治療は、進行した円錐角膜の治療法としては非常に画期的な治療法と言えます。角膜の突出によってコンタクトレンズの装用すら困難となった状態をレーザー角膜リング手術で平坦化させることで、近視や乱視を軽減させます。その平坦化させた状態に、角膜クロスリンキングを行うことで角膜の突出を軽減させた状態で角膜強度を向上させることができます。これによって円錐角膜の進行を抑制するとともに、近視や乱視を軽減した状態を維持させることが期待できます。
冨田実アイクリニック銀座では、レーザー角膜リングによって角膜形状を改善し、改善された角膜にクロスリンキング治療を組み合わせることで、平坦化して近視・乱視を軽減させた角膜形状を長期的に維持するとともに、以後の円錐角膜の進行を抑える画期的な治療法を導入しています。
角膜リングを挿入することによって、突出していた角膜を平坦化させ、円錐角膜によって生じていた近視や乱視を軽減します。その後、改善された状態で角膜強度を向上させ円錐角膜の進行を抑制します。
レーザー角膜リングは、円錐角膜の進行を抑制する非常に効果的な治療法です。円錐角膜については、世界的な学会でも多くの講演を行ってきましたが、世界と日本では新しい治療の普及に大きな差があるのは事実です。私は、世界の学会に積極的に参加し、国を代表する著名な眼科医たちと新しい治療法について様々な意見交換をしてきました。
難病と言われてきた円錐角膜も治療できる時代です。従来のコンタクトレンズによる視力の矯正だけではなく、進行そのものを抑える根本的な治療があることを多くの方に知ってもらいたいと思っています。
円錐角膜にお悩みの方は、是非一度、当院にご相談下さい。